第11章 桜春夜
「手当ての前に風呂入って来い。」
不死川サンの湯冷めが心配で自分の入浴より先に手当てしようとする私に先に風呂に入れと譲らない不死川サン。結局私が勝てるはずもなく、お風呂をいただく。
湯船でのんびりするのは心地よくてついついぼーっとしてしまう。
(不死川サン待ってるから早く出なきゃ。)
思いの外、長風呂になってしまったことに気づき、慌て気味に風呂から上がって夜着に袖を通す。
(一旦自室に寄ってお布団ひいてから行かせてもらおう。)
と自室に向かった訳だが…
押し入れにお布団がない…。
え、今朝もここにしまったハズ。
昨日何かあったら呼べと言われた事を思い出し、恐る恐るお隣の部屋との襖を開け、
「不死川サン、私がお借りしてるお布団は…?」
と不死川サンのお部屋を覗き込むと、お部屋の真ん中に並んだ二つのお布団。不死川サンのお布団と私のお布団。