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不死川サンとの恋【鬼滅の刃•不死川実弥】

第11章 桜春夜


春の陽気を感じながら歩くとしばらくして甘味処ののぼり旗が見えた。
すると不意にあちらの曲がり角からやって来た人に目が行く。

長い明るい髪に白の羽織、帯刀…。

「不死川サン…!?」

と私が気づいたのとほとんど同時に、

「花耶ッ。」

とまるで飼い主を見つけた犬のように不死川サンが駆け寄ってきた。

「不死川サンお疲れ様です!おはぎ…ですか?」

同じ屋敷に帰るはずなのに、甘味処で偶然顔を合わせることになるなんて何だか可笑しい。

「アァ。」

と言いながらちょっぴり嬉しそうにフッと笑う不死川サンが可愛らしい。

「抹茶飲んでくかァ?家で食べるかァ?」

と急に聞かれて私は頭を悩ませた。
前々からお約束してた甘味処。
だけどお互い隊服でせっかくの甘味処ならちゃんとお洒落したいなぁなんて思ったりもする。

「また、一緒に来てくれますか?」

「アァ。もちろんだァ。」

「じゃぁ、今日はお家がいいです。」

「そうだなァ。」

と私たちはおはぎを買って帰ることにした。



帰り道

「今朝、握り飯ありがとなァ。美味かったァ。」

「よかったです。」

「今朝はビビったけどなァ。」

「へ?」

「へ?じゃねぇだろォ。出ていかれたかと思ったわァ。」

「そんな訳ないです…。」

「明日も仕事、同じ時間かァ?」

「そうですね。」

「明日は真っ直ぐ家帰って来い。その後、おはぎ食いにいくぞォ。今度は、抹茶付きでなァ。」

「はい。楽しみにしてます。」

と私たちは早速甘味処のお約束をしたのだった。

不死川サンの屋敷に着いたら一緒にお茶を淹れて、縁側で一息。
険しい顔をしていることも多い不死川サンのお顔がいつもより一層穏やかでずっと眺めていたくなる。

「何見てんだァ?」

「なんでもないです。おはぎ美味しいですか?」

と笑いかければ不死川サンは、

「ッるせェ。」

と頬を赤らめてそっぽを向いてしまったのだった。
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