第10章 さくらさく
ふと不死川サンの腕が緩んで、不死川サンの顔を見上げると絡み合う視線。
そして、不死川サンのお顔が近づいてきたと思ったら、唇に柔らかな感触…。
ふっと離れると、
「目くらい閉じろやァ。」
と不死川サンに言われて素直に目を瞑った私の唇に、再び柔らかな感触が訪れる。
何度も優しく触れるように口づけされて、思わず不死川サンをギュッと抱きしめた。
しばらく続いた甘い時間を遮ったのは、ほとんど同時だった不死川サンと私のお腹の音…。
私たちはお互い恥ずかしそうに顔を見合わせて、
「台所お借りしますね。」
「アァ。」
と黄昏の甘い時間に別れを告げたのだった。