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不死川サンとの恋【鬼滅の刃•不死川実弥】

第10章 さくらさく


再び俺の屋敷に着くと花耶に屋敷を案内し、

「ここが花耶の部屋だァ。で、こっちが俺の部屋。なんかあったら呼べェ。」

としれっと俺の隣の部屋をあてがう。

「は、はい。ありがとうございます。」

“俺の隣の部屋”と言った途端に顔を赤らめた花耶が可愛くてニヤつきそうになったのを堪えながら、

「結構歩いたし、荷解きして、休んどけェ。」

と平然そうに言うと花耶の部屋を出て客人用の布団を引っ張り出し、太陽の下へ出すと自室へ向かう。

(蝶屋敷で休養した間の報告書の処理でもやるかァ…。)

柱は忙しい。他の隊士や柱たちからの鬼の出没や鬼がらみであろう怪しげな事件の報告が日々寄せられる。
それらを確認し、担当地区の地図と時に睨めっこしながら警護の計画を立てたり、偵察に行ったりする。

大方の報告書に目を通し、そろそろ甘いものでも欲しくなり、隣の部屋に向かって、

「花耶荷解き終わったかァ?」

と声をかけるが、返事がない。


(花耶も歩き疲れてるだろうし、俺がサッと買いに行ってくるかァ。)

女の部屋を勝手に開けるのは憚られしばらく待ってみるものの、返事がない。

「花耶…?開けるぞ。」

と恐る恐る襖を開けると、畳にうつ伏せで花耶が倒れて…?、いや寝入っていた。そっと近づき花耶が右手に握りしめていたしおりをそっと抜き取り、頭の近くに開かれた分厚い書物に挟んでやる。

「今日は、蝶屋敷から始まってずいぶん歩かせちまったなァ。」

と小さく花耶に声をかけ頭を撫でる。
甘味処は、俺が走っていけば数分だが寝ている花耶を置いて行きたくはない。

「もうちょい続きやるかァ。」

俺は、気持ちよさそうに眠っている花耶を横抱きにして隣の自室に運んだ。俺の文机の横に寝かせ、このままだと風邪をひいちまうかもしれねぇと薄い布団を引っ張り出してかけてやる。もう一度、花耶の寝顔を見つめると俺は再び報告書に取り掛かった。
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