第2章 お怪我はありませんか
「不死川サ…様!お怪我はありませんか?」
と近寄って跪く。
私をジッと見下ろしている。
というか、睨まれている…。
一瞬怯みかけだか、不死川サンの様子を窺おうと少しだけ顔を上げると左手の指先から血が滴っている。
(え、黙ってるけど怪我してるじゃない)
私は痛々しい血の滴りと沈黙に耐えきれず、気づいた時には不死川サンの左手首を掴んでいた。
「何すんだァ。こんなもん怪我じゃねェ」
私の手を振り払おうとするが、グッと掴んで対抗する。
「いや、血でてますよ!ジッとしてください。」
すると、私を睨みつけたままおとなしくなった不死川サン。
これを逃すまいと急いで薬を塗り、包帯を手早く巻く。
「終わったかァ…」
と焦った声
「はい。傷跡きっと残りませんよ」
なんだか病院嫌いの子供のようで、思わず微笑むと
「んなァことァ聞いてねェ」
と言って不死川サンは、スタスタと帰っていった。