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不死川サンとの恋【鬼滅の刃•不死川実弥】

第6章 記憶の中の人


戦闘場所となった家の中に入ると、畳は大きな傷が幾つ目立ち、所々に残る血痕…。
昔のことを思い出し、目を背けたくなる。

部屋の奥の方へ目をやると、いつも佇みながら呼吸を整えたり、現場を観察したりしている不死川サンが、うずくまっていて、

「不死川サ、様!」

と慌てて駆け寄り顔を覗き込む。

「…ァ。」

不死川サンは、返事をしてくれようとするが出血が多いせいか言葉にならない。傷を確認するといつもの腕だけではなく、肩から隊服がはだけている胸元あたりまでの大きな傷を負っていてそこからの出血が多そうだ。
きっと回復の呼吸でなんとか意識を保ち、他の者を搬送させたのだろう。

私は、止血用の布を取り出して不死川サンの傷に押しつける。
腕も手当てしようと、不死川さんの右手で止血用の布を押さえさせ、左腕の切り傷を確認していると腕の下にできた血溜まりが目に入る。

(昔見たような…。
そういえば、この前先輩に不死川サンの腕の傷の多さを聞いた時、「不死川サンは稀血の中でも珍しく鬼が酩酊するからたまに自ら出血させてるらしいわよ。」と言ってたっけ…。
その時は、なんていう戦い方なんだって思ったけど、もしかして私が助かったのは、目の前の私よりも手に入れたいものが現れたから…?)

左腕の傷に、いつものように薬を塗り包帯を巻きながら記憶を辿る。

(そうだ…。
目の前の鬼への恐怖で逃げられない私の後ろの方から、「オイ、鬼ィ、そっちよりこっちの方がァうまいぞォ…。」って声が急に聞こえて、私は助かったんだ。きっと、そんな無茶な事してる隊士なんてそういない。それに話し方。
やっぱり、あの時の私を助けてくれたのは不死川サン…?
初めて会った時、「不死川サン、ありがとう。」って言葉がずっと頭の中をぐるぐるしてたのは、記憶が抜け落ちている助けてもらった時に、伝えたから…?
ちゃんと不死川サンに聞いて、お礼も言いたい…。)
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