第6章 記憶の中の人
左腕を下ろし、再び胸の傷の止血にかかる。
新しい布を取り出して、傷口を押さえながら、不死川サンの様子を確認しようと目線を上げると不死川サンと目が合う。
なんと声をかけたらいいのか悩んでいると不死川サンは、“大丈夫だ”というかのようにフッと笑って…意識を失った。
「不死川サン!!!」
(不死川サン、待って。今、思い出したのに。おはぎも約束だって、言ったのに。きっと好きな人と食べたら、美味しいって思ったのに…。)
「不死川サン!しっかりしてください!」
不死川サンの脈を測りながら、必死に不死川サンに声をかける。
幸いまだ脈はある早く運んで、ちゃんと傷を縫合すればきっと大丈夫…。
私は、自分を落ち着けようと深呼吸してから、意識を失っている不死川サンを横にして先輩や搬送してくれる仲間を呼びに走った。