第4章 おはぎを食いにー実弥sideー
ー翌日ー
久々の、通常任務
またも、神社の神様は願いを叶えてくれたようで戦闘後、
「不死川様、お怪我はございませんか?」
と花耶が近づいて来た。
“会いたい”という願いは叶ったのだが、幸か不幸か雑魚鬼すぎて、
「…あァ、雑魚鬼だァ、怪我はねェ」
せっかく会えたのに、また上手いことを言えないせいで会話が終わっちまう。伊黒に言われた通り、手当ての間におはぎ食いに誘おうと思ってんだが…。
俺が手当不要だと確認したら、すぐに行っちまうと思っていた花耶は、まだ目の前に佇んでいる。
心なしか花耶もがっかりしたように見えたのは、俺の思い違いか…?
すると花耶は、
「あ、あの…。先日の傷の治りを確認させていただけますか?」
「ンなモン怪我のうちじゃねェ」
確認するほどの怪我ではない。俺との会話を繋ぎ止めようとしたようなせっかくの花耶の提案にもかかわらず、俺はまた愛想もねぇ事を言っちまう。それでも、まだ間に合うかと、花耶に腕を見せる。
すると花耶は、
「綺麗に治ってよかったです。」
といいながら、俺の腕を指で撫でて来て
「…ッ、アァ」
と焦ってることがモロバレそうな返事をしてしまう。
花耶は、無意識にやっていたらしく慌てて俺の腕から手を離すと、代わりに薬を取り出して、半月の間に増えた細かな傷跡に指を近づけて薬を塗っていく。
俺は、どうしても我慢できなくなり、
「俺の腕なんかもう傷だらけだァ。今更、どうだっていいだろォ。」
と思ったまま口にした。
「どうでも良くなんかありません。」
花耶に真っ直ぐ見つめられ、そんな事を言われると胸の鼓動が早くなるのが分かるが、必死に平然さを装う。
「どうしてだァ?」
俺は、思わず追求してしまう。
「どうしてって…私が気になるからです!不死川サンの大事な体ですから!」
(なんか今、すごいこと言われたような気がする…。)
もうこれ以上平然そうに振る舞うのは、キツいと感じた俺は、
「そうかァ…」
と言ってこの話題を切り上げ、手当が終わるまでにどうおはぎ食いに誘おうか再び頭を悩ませ始めた。