第8章 Season 1 ジェラシー
「なって、ないよ。なってない」
私に言われた言葉じゃないのに、私は、思わずそうつぶやいた。
「何自分に言い聞かせてんだ、お前は。あー、もう。馬鹿か?ほんで、どうよ。慧はどうだったの?」
「……嫌だったから、泣いた」
「はぁ?」
紘が耳元で急に大きい声を出したもんだから、私はびっくりして肩をすくめてしまった。
「あぁ、ごめん……」
「……嫌だって言えなかったから、ばれないように泣いた」
「そっか……」
ちょと、こっち向けと、紘は私の顔を上げさせる。
「俺の事、嫌いか?」
「……嫌いじゃない」
「俺に抱かれるのは?」
「嫌じゃない……と思う」
「と思うって?」
「……まだそんなに知らない、から」
私は、なんとなく紘と距離を置いてしまうような言葉を選んだ。
「俺は……お前が好きだよ。すっごく。だから、お前に対して傷つけるようなことした治さんに腹が立つ。なんで今更?って思う。そんで、俺に対してそれを隠そうとしたお前にもむかつく」
紘の言葉を、私は目をあわせられずに聞いた。
紘はそのまま私の身体を再びベッドに沈め、さっきまで必死で掃除をしていて、少し汗ばんだ私のTシャツを捲り上げ、ブラジャーを上に押し上げると、露出した胸の先端部分に吸い付いてきた。
「……!」
「慧には俺が一番だって教えてやる。今日は、お前がちゃんとわかるまでやめねぇし、キスもしてやらねぇから」
そう言うと私の背中を少し浮かせてTシャツとブラを引き抜いて投げ捨てた。
「ちょ、紘?」
「俺、ずっと我慢してたんだかんな。お前はどうか知らないけど!」
そう言うと、胸を撫で回し、先端を口に含んで愛撫をし始めた。
「……っっん!」
私は、思わず手の甲を口に当てて声を殺した。
「乳首、たってんぞ?」
舌を出しながら、紘が言う。
「やめっ……」
「こんだけ堅くさせといて、よく言うよ」
片方の先端を指で挟んでぐりぐりとつねる。
「……ったぃ……」
快感というより、痛みのほうが勝ってしまって、ついそう漏らしてしまった。
でも紘はそれをやめてはくれず、しばらくそうして引っ張っていた。
そして、ひっぱったまま、またその先端に舌をあててくる。
びくっと私の奥に快感が走った。身体の中心が疼く。
つい膝をこすり合わせてしまう自分を恥じた。