• テキストサイズ

私と彼らの生活

第7章 Season 1 酔っ払い


肌蹴させられた胸元を翼の手の平が這う。

胸の先に指が触れると、私の身体はびくっと反応してしまった。

「……なぁんだ、感じてんじゃん」

そう言うと、首筋をべろーっと舐めて、そのまま胸に食らいついた。

「……っっ!!」

私が思わず悲鳴を上げそうになると、

「大きな声、出さないほうがいいよ?今たぶんみんな部屋にいるんでしょ?夜だし、静かだからみんなに聞こえちゃうよ?慧さんのエッチな声」

それでもいいの?と翼はいつものようなかわいい表情ではなく、意地悪な顔をして聞いてくる。

私が下唇を噛んで睨みつけると、

「うんうん、それでいいよ。慧さん、物分りいいじゃない」

掴んだ手はそのまま離さずに反対の手で私の頭を撫でた。

逃げようと思えば逃げれるのかもしれない。だけど、なんだか私にはそうできなかった。

「こういうときのベッドの軋む音って結構響くんだよね?ばれちゃうかな……」

「……誰、に?」

翼が知っている、ということの真相を確かめようと震える声で私が聞くと、

「さぁ、それは慧さんが一番よく知ってるんじゃない?」

「……」

「そうそう、今慧さんの頭に浮かんでる人」

そう言うと、翼は私の手首を掴んだまま、

「しばらくおとなしくしててよ。可愛いよ?慧さん」

私の胸に顔をうずめた。

感じる気はなかったけど、普段の翼とのギャップに私の身体は過剰な反応を示していた。

「……っうぅ」

声を出せば、裕に届くかもしんない。

でも……。

私の目の端から涙が一筋こぼれた。

すると、それを見た翼が、

「ねぇ、慧さん。僕にも貴女を癒してあげたいんです。だけど、僕に出来ることって、考えたんだけど、紘くんや裕たんがしてるようなことくらいしか見つかんなかった。だから……」

急に、寂しそうな声に変わった。

紘や裕がしてることって、翼が前言ってた、私の目元にキスしたとか、勝手に翼が勘違いしてる裕に頭を撫でてもらったとかいうことだよね。

それに今は、さっきまでの酔っ払ってはっちゃけてる翼や、急に人格が変わってしまったような翼とは打って変わって、普段よく知っているような翼。私は、抵抗するのをやめてしまった。

「だったら治さんの代わりに僕がなってあげます。僕に貴女を癒させて?」
/ 143ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp