第7章 Season 1 酔っ払い
「ちょっと、つばさっち!?」
「……最近、慧さんかわいくなったよね?……僕に逆らわないほうが、いいと思うんだけど?言ってる意味、わかるよね?」
なら、口開けてよ、と翼は私を見下ろしてくる。
「……やだ」
私がなるべく目に力を入れて睨むと、
「じゃあいい。無理矢理口開けさせるから」
鼻をつまんできた。首を振って外そうとするが、うまくいかない。
だんだん息苦しくなって、つい口で息をしてしまう。
「……!!」
狙っていたかのように私の口に食らいつくと、翼は顔に似合わず濃いキスをしてきた。
他の男よりは軽いはずなのに、身体の上に翼の体重をしっかりかけられると暴れても、逃げられない。
「ほーら、ね。僕の言ったとおりでしょ?」
やり方はともかく、言ったとおり口を開けさせる事に成功し、翼は満足そうだった。
「僕のキス、感じた?」
「馬鹿!?」
酔っ払うとドエロになる、と拓が言ってたけど本当だったみたい。
「馬鹿じゃないよ?だって僕ずっと慧さんにキスしたかったんだもん。それに……」
また私の胸を触り始める。
「ずっと触りたかった。ね、いいでしょ?触っても」
「……もう触ってるじゃない」
「うん、そうだね。なんか、ちょっと酔いが醒めてきたみたいだよ。……ね、慧さん、エッチなことしようよー」
「どこが!!ぜんっぜん酔い醒めてないじゃない!!」
私の言葉を無視して、翼は、私の着ているパジャマのボタンを外し始めた。
「こら、やめなさいって!」
まるで寧々や乃々を叱るように言うと、
「……まぁた僕のこと子ども扱いした。僕、それ気に入らないんだよ。ちょっと黙っててくれる?」
急に低い声を出す翼。
表情から少しいらだっているのが伝わってくる。
口調もなんだか変わった。
まだ、さっきまでの酔っ払っただけの翼のほうが可愛かった。
さっきの翼とは別人のように、冷たい目で私のことを見下ろしてきた。
私の両の手首を片手でまとめて掴むと、そのまま私の頭の上で押さえつけ、そして、黙らせるためなのだろう、唇をふさいできた。