第7章 Season 1 酔っ払い
よいしょっと翼の身体を支えてあげると、なんとかベッドに座らせることが出来た。
翼の身体のサイズ、体重は私と変わらないくらいだろうし、背の高さは少し大きいくらいだから、なんとか支えられる。
「はい、飲める?」
私がグラスを翼に差し出すと、素直に受け取ったが、
「ねー、慧さんが飲ませてよー」
と甘えてきた。もう、しょうがないなぁと私がグラスを持ち、翼の口に近づけようとすると、
「違う、そうじゃない」
グラスを取り上げて、翼は自らの口に含んだ。
「なんだ、自分でできるんじゃん」
あきれていると、翼がグラスをテーブルに置きなおし、私の肩を掴んで唇を重ねてきた。
驚いて少し開いていた唇の隙間から、冷たい水が流し込まれた。
私がその水を飲み下すのを確認すると、
「こーするのっ」
唇を離し、顔の前数センチのところで言う。
「……!!?」
突然のことで、私は言葉を失ってしまった。
「えっへへー、キスしちゃったー」
「ちょっと、つばさっち、酔っ払いすぎ……」
パニックになりかけ、思わず怒鳴りそうになった私に翼は抱きついてそのまま押し倒してきた。
「あはは、慧さんのおっぱいー」
言いながら翼は私の胸を触ってきた。
「ちょっと、やめなよ!駄目だよそういうことしたら!!」
手首を掴んでやめさせようとするが、
「えー、だって慧さんいつも僕のこと男としてみてくれないじゃない。僕、それじゃつまんない。僕だって男の子なんだって証明してあげる。それにね、僕……知ってるんだ」
意味ありげににやっと笑う翼。
無意識に目を泳がせてしまう。
嘘かもしれない。だまされちゃ駄目だ……。
「何を?」
必死に冷静を装い、声が震えないようにして問った。
こんな七つも八つも年下の子に負けるわけにはいかない、と。
「……知りたい?だったら」
僕のお願い聞いてくれたら教えてあげるよ、と言いながら、再び唇を重ねてきた。