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私と彼らの生活

第6章 Season 1 後悔


その日の夜は、私のバイトはお休みで、治さんもいつもよりはかなり早く夕方には帰ってきた。

他の住人もみんなそろい、8人で夕食をとった。

トリプルカレーに喜んでいたのは拓だけで、他の人はみんな少し微妙な顔をしていたけど、味は別に悪くなかった。

市販のルーを使って作ってるわけだし、味がそんなに悪くなりようはないのだが。

夕食の後、私が片づけをしている間に、珍しく治さんが子供たちをお風呂に入れてくれた。

久しぶりのパパとのお風呂に寧々と乃々は大喜びでついていく。

私も、なんだか今日は早めにこもりたくて、片づけを済ませるとリビングを後にした。

日記を書いたり、ネットをしながら時間をすごしていると、治さんが、子供たちがもう寝たと伝えにきてくれた。

そっか、ありがとう、と伝えると、なぜかそのまま治さんは私を抱いた。

半年以上も何もなくて、ほったらかしだったのに、今になって急に?と妻である私が治さんに抱かれるのは当たり前のことのはずなのに、なぜか胸がざわついて仕方がなかった。

あまり感じない身体を、治さんは無理矢理抱いた。

痛くはなかったけれど、ものすごい嫌悪感が襲ってきた。

誰が悪い?私が悪いの?と自問しながら、治さんを受け止めていたら、涙が溢れて止まらなくなった。

嬉しいからじゃない。そんな涙じゃなかった。

理由ははっきりこれ、というものじゃなくて、ただ、むなしくて悲しくて、涙が止まらなくなった。

酷く重い罪を背負ってしまったんだ、と思い知った。

薄暗くしてもらっていたから多分治さんは私が泣いている事には気がつかなかっただろう。

私も気づかれないように声を殺し、歯を食いしばり、少しの間だけだと、心を閉ざしていた。

事が終わると、治さんは自分も寝る、と子供たちが寝ている寝室へと向かった。

私は、もう少しやりたいことがあるから、とそのまま部屋に残った。

しばらくの間、抜け殻のように床に座ったままぼーっとしていた。

考えても考えても答えは出そうにない。

実際私の中で歯車はもう壊れていて、もう直す気なんてなかったから。

わからなかった。とにかくわからなかった。
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