第5章 Season 1 ふたり目
紘の言うところのおしおき、というものが終わったのだろう。
許可をもらった私は、一気に昇り詰めた。
紘は後ろから私の胸を掴み、そちらにも刺激を与えてくる。
「あっ……んんっ、あん、紘ぉ……」
「あ、イきそう?……いいよ……。俺も、もうすぐっ……だから」
さっきまでは聞けなかった苦しそうな声が聞こえてくる。
私は身体を大きく痙攣させた。
少し遅れて紘も果てたようだ。
しばらくそのまま私の背中に紘の身体が乗っかったまま時間が過ぎた。そして、お互いの呼吸が落ち着いた頃、
「しっかし、やっぱ慧、経験値低すぎるわぁ」
「え?」
私の身体を抱き寄せ、そのまま始めのように膝の間に座らせるような形で言った。
「……だめ……なの?」
否定されたような気がして、急に悲しくなった。
「誰もんなこと言ってねぇよ。そのほうが面白いもん。つか、こんな状態でほっとく治さんはやっぱり馬鹿だな」
それから、
「治さんよりは、断然俺のほうが上手かったでしょ?」
と耳元で聞いてきた。
「……ぅぅぅ……」
ぞくぞくしてしまって、うまく答えられないけど。
「またやろーなっ。俺、ほんと慧好きだわ。やっぱお前は健気で可愛い。これは間違いない」
上半身だけ中途半端に衣服を身に着けている状態で、紘がぎゅぅっと抱きしめてくれた。
それから先ほど吐き出したままにしてあるコンドームごと私のなかから抜け出ると、それを片付けた。
「ほんとは、何もつけずにやりたいんだけどねー……。昨日順さんが言ってたことも間違いじゃないなって思うから。早くあの薬飲めよー」
紘はやっぱり私とやりたいだけ、なのかなぁと思いながら頷いた。
そうだよね、私の欲求不満を解消してもらうための割り切った関係だものなぁ。ここは都合のいい女という扱いをうけても仕方がないのかも。
何とか自分を納得させようとしていると、私の耳に聞きなれた音が聞こえてきた。
「あ、電話……」
鞄の中でスマホが鳴っているようだ。
紘の膝から降りると、鞄のところまで行き、スマホを取り出す。画面には順さんと出ていた。
「……もしもし……」
通話ボタンを押すと、
『ちょっと!!さっきから何回もメールしてんのに、なんで返事しないのよ?なんかあったの?心配になるでしょう?』
いきなり怒鳴り声が聞こえてきた。