第5章 Season 1 ふたり目
「じゃーここでコーヒーもうちょっと飲んでいいからー。待つからー」
と背中におでこを押し付けてくる。
「わかった」
私はそう返すと、テーブルの上のマグカップに手を伸ばした。
「うっそ、マジで?」
「だって、いいって言ったじゃない」
「言ったけどぉー」
紘があごを肩に乗せてきた。
「……飲みにくいんですけど……」
「はーやーくー」
紘に急かされて、溜息をつきながら私はコーヒーを諦めた。
「……んで、どうするんですか?」
「なにそれー、色気ねーな」
紘はもっとその気になってくれないとつまらないと言うと、私の顎を掴んで後ろにひねらせて、キスをしてきた。
少し身体をねじって顔に追いつく。紘の手は、片方はそのまま頬に、もう片方は私の腹に回されていた。
少し目を開けると、紘と目が合った。
「……紘?」
「べろー」
「うー……」
舌を絡めるようなキスに、私はどんどん理性を奪われていく。
たぶん、紘はキスがうまいんだと思う。
キスだけなのに、脳みそがとろけそうなほど気持ちよくなる。
前もそうだった。
「……気持ちよくなってきた?」
とろん、とした私の目を見ながら紘に聞かれると、
「……うん」
もう逆らえない。
「えらく素直だねぇ。んじゃーもうちょっとしてあげよう」
そう言いながら、再び唇を重ねてくれ、吸い付くようなキスに、私は身をゆだねた。
すると、腹に回されていた手が、ごそごそと動き始め私のシャツのボタンを下から外し始めた。
「ひろぉ……?」
「まだ、こっち向いてて」
言いながら、紘はまだキスしてくれる。
ボタンを全部外し終わると、前を肌蹴させて、ブラの上から私の胸に触り始めた。
私が少し身をよじると、唇を離して、
「やわらけー。慧けっこう胸あったんだなー」
と両手でもみ始める。
紘の唇は、今度は私の首筋をなぞった。
私、首の後ろ弱いんだ。
知らなかったや……と思いながらもびくびくと感じてしまうと、
「あれ……このブラ後ろにホックないよ?」
私の背中に手を入れながら言う。
「じゃあ、こっちかー」
手をまた前に戻すと胸の中心にあるホックを外した。
「ねぇ、慧。フロントホックなんて、やる気満々じゃん」
耳元でそうささやいてきた。