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私と彼らの生活

第5章 Season 1 ふたり目


「いや、ちょっと待って、何か数字が書いてある……俺これどっかで見たことあるぞ……あ!」

紘が何かに気づいたのを、私は出来上がったコーヒーをカップに注ぎながら窺った。

そして、

「これ、あれだろ?なか出ししても妊娠しないやつ!」

あまりにも男目線な言い方に、

「ちょっと!!露骨過ぎ!!!」

声を荒げてしまうしかなかった。

「ねーねーそうなんだろー。ねーすぐ飲んでよー、今飲んでよー」

「無理。次の生理が来るまでは飲んでも効果がないの!」

私はそう言いながらも、マグカップを持って紘のところまで行き、つきだした。

「おーサンキュー」

マグカップを受け取ると、紘はソファーに座りなおした。

私もその隣に少し間を空けて座った。

「で?紘はどこか具合が悪いの?早退するなんて珍しい……」

まったくそんな風には見えないのだが、聞いてみると、

「どこも悪くないよ」

「じゃぁサボり?」

「うん、そんなもん。そういえば、乃々は?」

「順さんとデート中。病院終わったってメールしたら、まだ邪魔しないでって返ってきちゃって」

笑いながら言うと、

「ふーん、そうなんだー……。ねぇ慧ー」

じりじりと間を詰めてきた。

「何?」

「やりたいっ。しよっ」

「ストレートすぎます。せめてコーヒーくらいゆっくり飲ませてください」

言ってきそうな予感がしてたから、冷静に対処できた。

「なんでー、いいじゃーん」

私の手からマグカップを取り上げ、

「ちょっと、こぼれるっ」

「俺さー、昨日順さんに待てって言われたから、ちゃんと待ったんだぞ?」

奪ったマグカップをテーブルに置くと、

「ここに来て」

と自分の膝を割って隙間に私が座れるくらいのスペースを作った。

「へ?」

私が目を丸くすると、腋の下に手を入れて、まるで子供を抱き上げるかのように私を膝の間に移動させた。

「くすぐったいよ」

身をよじる私に、

「……ほんとに重いのな……」

とつぶやく。

「うっさいなーもう。だから昨日そう言ったじゃん」

私は紘を振り返って睨んだ。

「ごめんごめん。機嫌直してよー」

「やだ」

紘に後ろから抱きしめられると、心臓が跳ねた。
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