第4章 Season 1 きっかけ
「やだ。やっぱりあんたたちなんかあったんじゃない!だから慧ちゃんの雰囲気が変わったわけだー。やだもう、キスしたくらいで、そんなに変わるなんて、慧ちゃんってウブねー。もーかわいいっ」
やっと理由がわかったわ、と順さんが紘の暴露に手を合わせて喜んだ。
裕は黙ったまま何かを考えているようで、
「裕……?」
心配になって、私は裕に声をかけた。
「キス、したの?紘くんと……」
「えっと……」
「いつ!?」
「……裕たちとお酒飲んで騒いだ次の日……」
結構正直に答えてしまった。
「……ならいい。順さん、俺もやる」
「え?どうしたの急に」
「どうすればいいの?」
「どうすればいいって……ねぇ」
順さんが裕に圧倒されながら考えていると、
「どうって、慧をかわいがってやりゃいんだよぉ」
紘が代わりに答えた。
「あぁ、裕は妬いちゃってるのね。紘に慧ちゃんとられちゃいそうで」
「ははっおもしれぇ。かかってこいやー」
紘がこぶしを作って構えるのを、
「そうじゃないでしょ!!」
順さんが紘のこぶしを叩いて止めた。
「んで、慧ちゃんはどうなの?最終的に決めるのはあんたよ」
まっすぐに私を見つめてきた。
「……えっと……」
いろんな思いが渦巻いてうまく答えを出せない。
「ま、いきなりこんな事言われても訳わかんないわよね。でも、あたしは絶対慧ちゃんはこの二人をうまく利用したほうがいいと思う。じゃないと、ほんとに心押しつぶされちゃうよ?一度一線超えてみちゃいなさいよ。そしたらなんかふっきれるから。こいつらならぜったい慧ちゃんの心を満たしてくれる。あたしが保証するし」
大丈夫、絶対うまくいくから、と順さんが私に言った。
「でも、やるんだったら、絶対に旦那さんや、特におチビたちに勘付かれちゃ駄目よ。あの子達の幸せはあなたの手で守るの。そのうえで、慧ちゃんは慧ちゃん自身で自分を守って幸せになるの。言ってる意味、わかるわよね?」
順さんに目の奥を覗き込まれた。
「……はい……」