第4章 Season 1 きっかけ
「あら、慧ちゃんモテモテじゃない。まぁあたしもだーい好きだけどね」
でもそのみんなの好きって多分、恋愛の好き、じゃなくて人間的に好きってことなんだよね?と何か妙な感覚に陥ってしまい、自身を納得させるために私はお酒を呷った。
「一つ屋根の下に一緒に住んでるわけよ?あたしたちが言わなければ誰も気づかないし。ただここは割り切った大人の考えしてね。もしも慧ちゃん孕ますようなことがあったら、傷つくのはおチビたちよ。あの子たちにはなんの罪もないの。だから、普段はいつも通り、ただの同居人っていう関係を貫いて。そんで慧ちゃんは、せっかくなんだから、旦那さんに悪い、なんて思わずに、紘や裕をとことん利用しちゃいなさいよ」
「いや……え?でも……」
「俺、別に構わないよー。最近はなんか慧が気になってしょうがなくって、本気で弱みに漬け込もうかと思ってたくらいだもん。じゃんじゃん利用してよ」
利害一致ーと紘が嬉しそうに言った。
いくらなんでもオープンすぎません?
「じゃあ、紘と組もうか?」
順さんがそう言う。
「なん……え……??」
「いやーん、こういう状況って楽しーい。これで慧ちゃんが元気になってくれたらあたしも嬉しいし」
「何それ。順さん単純におもしろがってない?」
「いいじゃない、別に。紘だって慧ちゃん抱きたいでしょ?元々変な関係なのよ、あんたたち。更に変になっちゃってもおかしくないって」
そうなのかなぁ。
でも、なんかもう紘とだったらこれ以上関係が発展しても悪い方には変わらない気がした。
「ま、ぶっちゃけ俺、順さんに言われなくても近いうちに慧に手ぇ出すつもりだったからね。じわじわ懐柔してさー」
「はぁ?」
にやっと笑う紘に、裕が驚いたような目をしている。
「俺、前に慧にキスしたんだけどね、そんときエッチだけはルール違反かもって言っちゃったんだよね。言った手前やっぱりそんな簡単に破っちゃいけないかなって思ってたけど、やっぱ無理だし、だから破ろう」