第1章 Season 1 同居人
私の家、治さんと寧々、乃々それから私の4人の時、それはそれは貧乏だった。
治さんの仕事がうまくいってて、まわりに比べて少しいい生活ができてた2年前……。
将来を見越して買ったマイホーム。
建てた後、やっぱり馴染みの土地を離れて一緒には住めないと言われてしまったのだが、元々は治さん側の両親と二世帯で住もうと思ってた家。
同居を断られ、不景気の波にやられ、給料カット、ボーナス減額なんかの追い討ちがかかり、このマイホームの存在が、だんだん我が家にとって重荷になってきた。
上の子は4歳になる年だったから、幼稚園に預ける事はもう決まっていた。
2年保育と迷ったが、近所の仲のいい子も通わせると言うし、寧々のためにも幼稚園は必要だろうということでの決定。
下の子は2年にするか3年にするかまだ考え中。
しかし、幼稚園といっても近所には私立しかなく、毎月結構なお金がかかってしまうのも事実で、今のところ治さんの給料だけでは大幅な赤字になってしまう。
初めのうちは少ないながらも貯金を切り崩しながら頑張っていたのだが、やはり、通帳がどんどん寂しくなっていく。
だけど、一度入れた幼稚園。
寧々に惨めな思いをさせないため、幼稚園の園費をなんとか作り出そうと私が悩んで考えて選んだのは、深夜のスーパーの品出しのバイト。
たった4時間だけど、子供を寝かしつけて、そっと家を出る毎日。
治さんと入れ替わりすれ違いの日々。
今まで規則正しい生活をしていたため、突然環境の変化に体調は常に不調。
子供のため、家族のためと歯を食いしばって頑張った。
そんなになってでも何もしないよりはましだと思ってた。
毎月の赤字がなくなったわけではないけど、わずかな収入でも、あるに越した事はない。
そして更に、節約の毎日。少しでも安いものを求め、食費や光熱費なんかを足しても3万円を切るくらいにまで締め上げた。
でも、働けど働けど、暮らしは楽にならず、そろそろマイホームともお別れかなぁなんて思い始めてたころ、バイト中にふいに一緒に働いてる祥さんが妙な話を持ち掛けてきた。
その内容はこうだ。
いつも、くだらない話しかしていないから、口があいたまましばらくふさがらなかったのを覚えてる。