第1章 Season 1 同居人
「慧さん今日バイトは?」
「んー?あー、休みだよ」
「そっか。んじゃ、楽チンだね」
「だねー」
「ほんじゃ、今日はお酒とかも買っちゃわん?そんで寧々ちゃんたち寝かしたら飲もうやー、たまにはえかろ?」
裕と私の会話に、拓が混じってきて膨らむ。こんな感じがなんだかいつもくすぐったくて嬉しい。
「私はいいけど、二人とも明日は大丈夫なの?」
「平気平気ぃー。朝早くないし」
「何か慧さんと飲むの久しぶりくない?」
「そうだっけ?」
「そうっちゃ。んじゃー、二階で集合ね。下で騒いだら寧々ちゃんたちが起きるかもしれんけ。あ、つばも混ぜちゃろう」
今夜の宴会の話に花を咲かせながら近所のスーパーで夕食の材料と、お酒、つまみになりそうなものを探した。
「んねぇ、今日、紘は帰ってくるのかな?」
「さぁ、聞いてないなぁ。どうなんだろうね」
「俺、メールしてみちゃげようか?」
「いや、いいよ。一応紘の分も作っとくよ。余ったら、治さんの明日の弁当に作り変えちゃえばいんだから」
メールして、帰って来いって強制するような感じは嫌だ。
一人分多く作っとくくらい手間はそんなに変わらない。
「何?余ったらいっつもそうやって治さんのお弁当とかになっとるの?」
「たまに、ね。お弁当用に取り分けておくことはよくやるよー」
「ふーんそーなんだ。余ったら俺がもらおうと思ってたのになぁ」
ちぇっと、裕がつまらなさそうに舌打ちをした。
「まぁまぁ、今日はプチ宴会も控えてる事じゃし、そっちのために腹あけとかんとぉ?」
拓がなだめる。ほんとにハンバーグが好きなんだろうなぁ、裕。
お菓子売り場に行って、スナックの棚を前に、
「こっちのが安いけど、やっぱ味はこっちのがいいんだろうなぁ」
私が、パッケージを二つ持って悩んでると、拓が、
「そんなん気にせんで思う方をいれときんさいね。俺が買うちゃるけぇ」
「んー……そう?ありがとう。でも、どうも癖が抜けなくて……」