第3章 Season 1 尋問
「あのー……治さんとレスだって話になって……そんで、急に泣き出しちゃって……。なんか俺らもどうしようもできないし、聞いちゃいけなかったかなって、あのあと3人で話し合って、聞かなかったことにしようよってことになってたんだよ……。ほら、もう一緒に生活しはじめて、半年近く経つじゃない?だいぶ仲良くなれたかなって思ってたけど、慧さんからそういう話って聞いたことなかったから……。ひょっとしたら俺らのせいでそうなっちゃってるのかな、とか思っちゃって……。それに、最近少し落ち込んでるっていうか、一人で考えてる事が増えてるなぁって思ってたけど……」
あー……そうか。そんな重い話をこんな若い子らに……。
「……ごめん」
やるせない気持ちになって、うつむき謝った。
「いやいや、俺らは大丈夫、なんだけど……。慧さんにちょっと辛い思いさせちゃって、悪かったなぁって……俺、あんとき受け止めるって言ったのに、なんにも出来ないでいるし……」
「え?そんなことも言ってくれてたの?」
エプロンのすそを掴んで、その縫い目をじっと見つめていた私はびっくりして顔をあげた。
「あ……そっか。それも覚えてないんだ」
そういうと、裕がじりっと私との距離を詰めてきた。
「実は俺、あんとき慧さんにキスしたんだよね」
と私の二の腕を掴んだ。
「はぁ?」
またそんな冗談を、と言う私に、
「ほんと。うそ言ったってしょうがないでしょ」
とキスをしようとしてきた。
「ま……待って待って」
慌てて裕の胸を押して、顔を反らす。
一体何をやらかしたんだ私は、と自分を責めた。
「待たない。思い出してもらいたいから」
反らした私の顔に手を添えぐいっと元に戻すと、今度こそ唇を重ねられてしまった。
「……んーー……っっ」
歯を食いしばって、唇をぐっと閉じて、目一杯抵抗した。
だけど裕はそんな私を無視して頭と背中に腕を回すと、そのまま押し倒してきた。
何で?何で?と腕を突っ張って必死で抵抗はするものの、裕は唇を離してくれない。
ずっと唇を硬く閉じていたせいで、だんだん息苦しくなって、
「ちょっ……とっっ」
口で酸素を吸おうとしてしまった。
やばい、と焦ったものの、その隙をついて、裕の舌が入り込んでくる。