第3章 Season 1 尋問
ちょっと言い方が怖かったかな?と思いながらも問い詰めると、翼はしまった!というような顔をして、ええっと、と言葉を濁し始める。
「な……なんでもないです。つか僕の口からはちょっと……」
「じゃぁ、いい。教えてくれないんなら、今裕もいるし、裕に聞いてくる!」
「え、ちょっと!!慧さん!?」
これ、絶対私呑み会のときになにかやらかしたんだ、と思い、たまねぎを剥いている翼をその場に残して、エプロンをつけたまま裕の部屋へと向かった。
何か、妙に鼓動が早くなる。
つまずきそうになりながら、裕の部屋の前に立つとドアをノックした。
「誰ー?」
部屋の中から気の抜けた声がした。
「私。入ってもいい?」
「は?慧さん?何で?」
慌てた声が聞こえ、すぐにドアが開いた。
「ちょっと、聞きたいことがあってきた。つばさっち答えてくんないから」
「あー……」
裕はちょっぴり気まずそうな顔をして目をそらした。
「ねぇ、私このあいだみんなで呑んだときに、何か変な事しゃべってた?」
本当に記憶がぶっとんじゃってて……と、裕に問うと、
「変な事って?」
裕の表情が少し柔らかくなった。
それを見て、やらかしたのはひとつじゃないんだな、とは思ったけど、とりあえず今は翼の言葉の真相を聞きださなくちゃ。
まぁとりあえず入ってくださいと、裕が私を部屋の中に入れてくれて、ドアを閉められた。
そのまま床に座り込むと、目の前に同じように座ってくれた裕の目を見つめた。
「つばさっちがね、治さんが相手してくれないから、とかなんとか言ってたんだけど……。私、なんの話したんだろう」
「……ほんとに覚えてないの?」
「うん。まったく。なんか楽しかった事しか……」
はぁー、と溜息をついて裕が口を開いた。
「あのときね、慧さん、すごい酔っ払ってね、えっと……」
すごく言いにくそうに、言葉を選んでいるようだ。