第2章 Season 1 夢のあと
「来週……の終わりにはあるわね、一緒の休み。ねぇ、そこにしましょうよ。あたしなんでも相談にのったげるから」
家呑み会の計画を楽しそうに立て始めている。
うちのメンバーはその日誰がいるかはわからないのだが、順さんはとりあえず私と話せれば満足なのだろう。
私も特に用事があるわけではないので、じゃぁその日にしましょう、と了解した。
「お疲れ様ですー」
帰りもまた自転車にまたがり、薄暗い道を走った。時間は丑三つ時をすっかり過ぎていて、あたりは静まり返っていた。
――帰ったら早く寝よう。
そう思いながら自転車をこいだ。車にも人にも誰にもすれ違ったりせずに家に着いた。
別に襲われたりすることはないとわかってはいても、なんとなく今夜も無事に帰れた事にほっと胸をなでおろした。
ただいまぁ、と小声でつぶやきながら音を立てないようにそっと鍵を開け、ドアを引いた。
家の中も外同様静かだった。
玄関を上がりリビングにとりあえず鞄を置くと、風呂場に向かい、シャワーを浴びた。
さっき風呂に入ってはいたが、やはり働いてきたそのままの身体で布団に入るのには少し抵抗があるから、一応自分の中での一日の締めとしてシャワーを浴びることにしていた。
身体を拭いて、パジャマを身に着けるとリビングに戻り、鞄からケータイを取り出した。
メッセージがきてるのか、ランプが点滅している。
「なんだろ……」
開くと、紘からだった。
『おかえり。お疲れ様。慧さえよければ、俺の部屋に来てよ。ちょっとしゃべろう。』
……行って、いいのかな。
一瞬で私の中に期待と不安とが渦巻いた。
少しくらいなら、大丈夫かな、と私はキッチンにとりあえずお茶を飲みにいき、それから息をついて落ち着かせ、二階への階段を上った。
二階はもう別の居住空間。
同じ家の中なのに、空気が違う気がするから不思議だ。妙に緊張する。
そっと足音を立てないように歩いて、紘の部屋の前に着くと、小さくコンと一度だけドアを叩いた。
ちょっと間があって、ドアが開いて紘が顔を出した。
なんとなく、時間帯に気まずさを感じながら、私はおじゃまします、とドアをくぐった。
ドアを閉めた紘が振り返り、
「おかえり、おつかれさま」
と今度は文字ではなく声で伝えてくれた。