第2章 Season 1 夢のあと
いつになく、ちょっと真面目な言葉を投げかけてくる紘と話をしながら、パスタを食べ進めた。さすがに無理やりスープパスタ風にしたもんだから、伸びてきた。
「いや、絶対そう。ただ、今は本当にいろいろ切羽詰った状況で、毎日の生活にいっぱいいっぱいで、治さんもいろいろ余裕がないだろうし、こういう状況になったのも自分のせいな部分もあるから仕方ないって思って、強く出れないんじゃないんかな?」
本当にそうなんだろうか?私にはそうは思えなかった。
だって本当に愛情があれば、離したくないって大事だって思ってくれてるんなら、どんな状況だって釘刺したり、コミュニケーションを取ろうとしてきたっていいはずだ。
「そんでさー、慧もなんだかんだ言ってまだ、治さんに惚れてるわけでしょ?じゃなきゃそんな悩んだりしないだろうし、それが治さんにはたぶん判ってるんだよ。どうせ慧には外したことなんかできないって思ってる。つか、信じてるんじゃね?しかも、慧もそれを裏切らない」
「んー?」
紘が言ってる意味がだんだんわかんなくなってきた。
紘は、今どっちの味方をしてる?いや、味方とかいう言い方はおかしいか。
「それは、言いすぎでしょ。私だってウラじゃ何してるかわかんないよ?」
裏切るとか裏切らないとかそういうのはよくわかんないけど、ただまぁ一歩踏み出せずにいるのは事実。
できるものなら、やっぱり私の隣には治さんがいるべきなんだと心のどこかで思ってるんだと思う。
子供の事があるから?世間体?そんなことどうだっていいはずなのに、心のどこかで、いつまでも治さんにしがみつこうとしてる自分がいる。
惚れた弱み、なのか?頭ではもう治さんへの愛情なんてちっともないと思ってるはずなのに。
「なぁんもしてないくせに、よく言うよ、ほんと」
紘がスープを飲みながら言った。
「ぶっちゃけて聞くけど、最近治さんと触れ合いってあった?」
「ふ……触れ合い!?」
「そ。ちゅーしたーとか、エッチしたー、とか」
ニッと笑いながら紘は聞いてくる。普通そういうこと聞く?
「……うーん……ない……かなぁ」
言っていいものか悩んだものの、つい紘のペースに乗せられて口を滑らせてしまった。