第2章 Season 1 夢のあと
どのくらい寝たのだろう。ふと、目が覚めた。
乃々は、遊び飽きのか、弁当も食べずにブロックのそばに転がって寝ていた。
一応、近くにあったタオルケットを引っ張ってきたのだろうか、身体に無造作にかけてあったけれど。
まだはっきりしない思考をめぐらせながら、時計を確認した。
1時間くらい、寝てた?ご飯、食べよっかな。
乃々の分は作ったけど、私が簡単に食べられるもの何かあったかな、と思い出しながらふと左側を見ると、
「……!!紘?」
私が座っていたソファの反対の端に、紘が座ったまま寝ていた。
気がつかなかった。
いつもなら、誰かが帰ってきたり、物音がしたら起きていると思ってたけど、今日は玄関を開ける音どころか、こんな近くに紘がいることにさえも気づかずに寝ていた。
疲れてたのか?なんか、そこまで気づけなかった自分が妙に怖くなった。
「……なに?もー起きたの?……もうちょっと寝てなよー」
私がソファから立ち上がった弾みで、紘を起こしてしまったようだ。
「いや、もう起きる。目が覚めた。びっくりしたし。つか、おかえり……なさい」
「んー、ただいまぁー。俺帰ってきたらさー、乃々はブロックのそばで転がってるし、慧はまったく起きる気配なしに寝てるし、あまりにも静かだったから、なんか、おもしれぇなって思ってしばらく眺めてたんだけどね、気づいたら俺も寝てたみたい」
あははは、と笑いながら紘が伸びをした。
「今、他に誰もいないのなー」
「うん。なんか今日はみんな仕事みたい。静かでいいよー。なんか、この穏やかな時間って、ちょっと忘れてたけど、いいなぁって思ってたとこ。……あ、紘お昼は食べた?」
「うんにゃー、まだ食べてない。何か作ってくれんの?」
「うん。一人だったら別にどうでもよかったんだけど、紘がいるんなら何か作ってもいいかなって」
「やった。ありがとー」
「パスタでいい?」
「うん、いーよー。具、いっぱい入れてね」
「はいはい」
乃々はまだ起きそうにないなと思いながら、キッチンに向かった。
棚からパスタを取り出し、具がいっぱいのパスタって何だ?と思いながら、冷蔵庫を覗いた。
野菜も肉もあるし、なんかとりあえず名前のついたパスタというよりは、ありあわせパスタなら出来そうだと思いながら、取り出した。