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私と彼らの生活

第1章 Season 1 同居人


「慧さーん、遅いよー。てかパジャマじゃないしー。ざんねーん」

2階に上がると、すでに裕と翼はお菓子を食べながら待っていた。

二人とも風呂は済んだのだろう、楽な格好をしている。

そういえば拓も着替えてたっけ、と今更気づいた。

そして、なんだか男の子の部屋にお邪魔したみたいな感覚にくすぐったくなる。

「もう始めてるの?」

私が言うと、これ見よがしに翼がスナックを頬張った。

そういえば、拓や裕とはお酒を一緒に呑んだことはあったけど、翼と呑むのは初めてだ。

呑むとどうなるのだろう。ちょっと楽しみだ。

「チューハイでい?」

裕が、私の好みに合うチューハイを差し出してくれる。

裕とはもう何度か一緒にお酒を呑む機会があったから、私の好みを把握してるようだ。

「うん、ありがと」

缶を受け取ると、プルタブを開けた。

「んじゃ、とりあえずカンパーイ!」

裕の合図でプチ宴会が始まった。

私はみんなと缶を合わせた後、ぐぐっとチューハイをのどに流し込んだ。

柑橘系の味が広がる。サッパリした感じがすごく呑みやすくて好きだ。

胃袋にアルコールが染み渡るのを感じると、何か今日もお疲れ様って気になる。

「茹でたての枝豆ー」

拓がさっそく枝豆に手を伸ばした。

「あー拓ちゃんずるい!僕もー」

翼もビールを片手に、楽しそうにしていた。

まだ呑み始めてあまり経ってないから、翼が酔うとどんな風になるのかはわからないけど、見ているだけで彼らのパワーには元気付けられるから、私は黙って眺めることにした。

拓はお酒を飲むと更に愉快になる。

よく喋る。

普段からよく喋るやつだけど、さらに輪をかけてテンションが上がる。

今日は翼相手になにやらひたすらマニアックな話をしているみたいだ。

話に混じってみたいけど、一体何のことやらわからないから、時々聞き取れる単語に反応して私は笑っていた。

翼は、さっきからひたすらビールの缶を空けている。まだ二十歳そこそこなのに、そんなに弱くないのだろう。

あまり普段とは変わらないような気がしたけど、しゃべり方から普段の翼らしい丁寧さは失われているように思えた。

裕は、そんな二人の会話に的確に突っ込みを入れながらあまり甘くないチューハイを飲んでいる。

普段の裕に比べて、少し言葉に毒を感じる気がするが、それもまた面白い。
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