第1章 Season 1 同居人
風呂から上がり、寧々と乃々を寝かしつけるのに、今日はさほど時間がかからなかった。
たぶん、翼がしっかり遊んでくれたおかげだろう。
部屋を薄暗くして隣に横になって、15分ほどで寧々も乃々も寝息を立て始めた。
とはいえ、一応物音を立てたりして起こしてしまわないように気をつけながら身体を起こした。
よく、この見極めを間違えて、乃々に泣かれるのだ。そうなったらまたやり直しになる。
――よし、大丈夫。
何とか起こさずに無事ベッドから抜け出す事が出来た私は、そおっと足音を立てないように部屋を出て扉を閉めた。
「ふぅっ」
無事寝かしつけに成功して、思わず息をつく。
リビングまで戻ると、何かつまみになるものはないかな、と冷蔵庫を開けた。
「上がってこいって言われてたんだっけ?」
しかし、思ったよりも早く子供たちが寝てしまい、さっき別れてからまだ1時間程度しか経っていない。
今すぐに上がったら、呑むのをすごく楽しみにしてます感が出てしまわないだろうか……。
実際楽しみではあるが、もう少し大人にならなきゃあと思う。
とりあえず、さっき買ってきた枝豆を茹でながら悩んでいると、
「あれ、慧さんもうここおるじゃあ。寧々ちゃんたちは寝たん?」
と、拓がおりてきて顔を覗かせた。
「あ……うん。でもまだ二階にあがるのはあまりにも早すぎるかなぁって思って、ちょっと時間計ってたとこ」
「なにそれー」
拓は笑いながらリビングに入ってくる。
二階にも一応冷蔵庫はあるが、あまり容量が大きくないから、今日の宴会用に買った飲み物は下の冷蔵庫に入れておいた。
拓はそれを取りに来たようだ。
「裕、待っちょったよ。部屋おっても別にすることないしーって」
早く行ったげなよと、拓に促され、私は慌てて茹で上がった枝豆の湯を切り、器に盛った。
そっか、そうだよね。何悩んでたんだろ。
別にすぐ上がらなくてもメールだとかいろいろ二階の様子を伺う手段はあったのに。
拓を手伝って、冷蔵庫からビールやらチューハイやらを取り出し、大き目のトレーを引っ張り出すとそれにのせて2階に上がった。