• テキストサイズ

私と彼らの生活

第13章 Season 2 新生活


一週間が過ぎ、治さんと離婚届に署名をして、役所に提出した。

ふたりで提出に行くとなんとなく円満離婚という言葉が似合いそうな感じで、少し妙だった。

「いままで、ありがとね」

「いいえ。こちらこそ。しょっちゅう行きますから」

「うん。まだお世話になるけど、よろしくね」

「はい。貴女も寧々と乃々をよろしくお願いします」

役所を出て、二人で少し話しながら歩いた。だけどどこかでランチを食べる気にもならず、少し会話が途切れたタイミングで、

「じゃあ、私帰るね。またね」

笑顔で切り出した。

「はい。また」

治さんと別れて家に帰る道を進んだ。

今日から私と治さんの籍はばらばらになった。

背負っていたいろんなものが少し軽くなったような、だけどそれ以上にまた重たい何かが乗っかってきたようなそんな気がした。

「ただいまぁ」

誰もいるはずがない玄関を開けてひとり呟き、靴を脱いで家に上がると、二階から人の気配がした。

あれ?今日誰か休みだったっけ?

裕たちは朝仕事に出かけて行ったのを見届けた。

子供たちも幼稚園に行っているし。

振り返って玄関を見ると、見慣れない靴が置いてあった。

「慧ちゃん、おかえり」

突然の声に視線を上げると、

「え、祥さん!?」

「俺の部屋、二階のリビングに使ってたところにするわ」

「は?」

祥さんが階段を下りて来ながら言った。どうやって家に入ったんだろう。

「あぁ、ごめん。治さんと話しつけたときにね、鍵預かったんだ。一応俺が代表だから」

祥さんが笑った。

「突然なんだけど今日から少しずつ荷物運び込んで、週末には正式に同居って形になるから。順は業者に頼んで明日荷物一気に持ってくるって」

「いえ、あ、そうなんですか」

なんて言ったらいいものか判らず、あいまいな返事しか出来ないけど。

玄関に突っ立ったままだったので、下りてきた祥さんに笑われてしまった。

「そんなとこ突っ立ってないで、ほら」

手を差し出してきて、

「明日は慧ちゃん家にいる?」

「はい」

祥さんの手をとるとリビングに向かいながら聞いてきた。

「じゃあ、順の引越し手伝ってやってよ。あいつ多分何もできないだろうから、運び込まれてからあと、さ」

「わかりました」
/ 143ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp