第13章 Season 2 新生活
「そうそう。それでいいの。男が六人もいれば、慧ちゃんと娘たちを養うくらい余裕だよ」
祥さんがマグカップを置いて、私のそばに来る。私の頭の上に手をのせて、
「よく、頑張って耐えてきたね。ほんとはいっぱい我慢してきたんだろ?治さんがしてくれなかったこと、俺らが代わりにしてあげるから。慧ちゃんはもっと愛されて生きていいんだよ?だから、俺らに頼って?」
祥さんの言葉に涙が出てくる。唇を噛んで嗚咽をこらえる私に、
「まだ、戸籍上は治さんの奥さんだからあれなんだけども」
と私の頬に手を添えて顔を上げさせて唇を重ねられた。
「……!?」
「そんな顔したら、男の理性なんてあったもんじゃないって判ってる?」
「あの……」
「俺の、女になりな?」
祥さんはそう言って私の頭を胸に抱きこんだ。
「……祥、さん?」
「今は、ここまでにしとくよ。その代わり治さんと正式に離婚したら真っ先に俺のところにくること」
祥さんのその言葉に私は頷くしか出来なかった。驚いた弾みで涙はもう止まっていた。