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私と彼らの生活

第11章 Season 1 理由


「祥さんは、許せるの?僕と同じ罪を今度は裕たんや紘くんに着せようとしたんだよ?この人は」

翼の手を掴んで順さんから離させた祥さんに今度は食って掛かる。

「許せない、というか、人として間違ってる部分はあると思うよ?それでも、俺はずっと順といたんだ。こいつの思いが全部間違ってるなんて思えないんだよ。どれだけ歪んでたとしても、ね」

順さんは掴まれた襟元を直しながら、私の傍に来た。

「ごめんなさいね、なんかとんでもない事になっちゃって。あたしのせい、ね。あたしが弱かったから」

「順、さん?」

「どこまで話を聞いたのかは知らないけど、翼と拓が関係を持っていたのは、あたしの奥さんだった人。自分の奥さんを他人に託すなんてどうかしちゃってるわよね?その罰が当たったのよ。あたしの大事な人はあたしの前からいなくなった。いろんなこと忘れるために昼だけじゃなくって、祥に頼んで夜も働かせてもらって。そしたら、慧ちゃんに出会ったの」

さっきまでの話でうすうす感じてはいたが、順さんの言葉が決定打、だった。

「慧ちゃんの話聞いてるとね、自分の奥さんを見てるみたいで。いつの間にか重ねちゃってたのね。だから、あのときと同じことを繰り返そうとしてしまったの。そしたらなんかあの子が戻ってくる気がして。そしたら、あたし今度は間違えずにあの子を愛してあげられるのに……」

順さんの話に、混乱しかける私。そこへ、

「はい順ストップ!ここ病院。慧ちゃん病人。こんな話をしていい場所じゃない」

祥さんが翼を押さえつけたままその場の収束に一役買って出てくれた。

順さんも我に返って話を止め、翼も黙り込んだ。

裕は大丈夫?と心配そうに聞いてきてくれた。

「慧!!」

水を打ったように静かになった病室の空気が揺れる。

ドアを勢い良くあけて飛び込んできたのは、紘と、拓。そして、治さんだった。

「だいじょうぶか?お前倒れたって」

「慧さんごめん。俺が余計な事言ったけ悩ませてしもうたんじゃろ?貴女はあの人とは違うのに……」

拓は顔面蒼白状態で入ってくる。

ただでさえ狭い病室に大の男が7人もやってきたもんだからとても窮屈な状態だった。
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