第11章 Season 1 理由
「おいこらお前ら、慧ちゃんの無事確認したんだからいいかげん出るぞ!こんな狭い部屋に詰め込まれちゃ暑苦しくて息もできないよ」
祥さんが、治さん以外の人間を病室から追い出した。
ドアが閉まり、人の気配がなくなったところで治さんが私の傍の椅子に来て座った。
「大変な目に遭いましたね。大丈夫、ですか?」
「うん。ごめんなさい」
「いいんです。貴女が無事なら」
治さんとこんな風に喋るのはどのくらいぶりだろう。
うまく、言葉が紡げないかもしれない。
「治さん、あの……」
「知っていましたよ。だから、何も言わないでください。貴女が何も言わなければ、僕の中で気のせいだったことに出来る」
私の言葉を遮って、治さんは言った。
「だけど……」
「僕にも原因があります。僕は貴女という存在がありながら、他の女性の元へ行っていました。貴女にあんな顔をさせたのも、彼らとの関係も、全て僕の責任です。だから、僕は貴女を責めたりはしません。もちろん、彼らのことも」
治さんの口から出た言葉に、私は言葉を失った。
治さんも、浮気をしていた?
「もう、元には戻れないでしょう。僕に貴女を幸せに出来る権利はもう、ありません。貴女の思いに任せます。……どうしたい、ですか?」
「私は……」