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私と彼らの生活

第11章 Season 1 理由


「ごめんな、あんな話した後だったから、なんか妙に責任感じちゃって。偶然にしちゃできすぎだろ、これ」

祥さんは申し訳なさそうに言った。

「いいえ、あれは私が知るべき話でしたから」

手を伸ばして翼の頭を撫でる。

「つばさっち、大丈夫だよ。私はいなくならないから」

「慧さんっ……」

うぅーとうなる翼はどうやら泣いているみたいだった。

裕の方を見ると、唇を噛んで何かに耐えているようだった。それから、

「俺……俺が慧さん好きにならなきゃこんなことにならなかった」

苦しそうに吐き出した。

祥さんから話を聞いたのだろう。

そして、祥さんに自分のことも話したのだろう。

「裕のせいじゃないよ。だから、責任感じちゃダメ」

「でも!!」

裕が何かを言い返そうとしたそのタイミングで、病室のドアがノックされた。

部屋の中にいた全てがドアの方に視線を向けた。

「あんた!!なんでここに来た!?」

私にしがみついていたはずの翼が次の瞬間ドアに向かって駆け出していた。

そして、勢いよく順さんに掴みかかる。

「慧ちゃんが倒れたって聞いたから、お見舞いに来たのよ」

「あんたにここに来る権利はないよ」

「そう、ね。ないのかもしれない」

病院内だというのを考慮してなのか、酷く低い声で翼が順さんに言う。

とりあえずドア閉めて中に入ったら?と祥さんが間に入った。

「どうしてまた、同じことをしようとした?慧さんは、あんたの奥さんじゃないだろう?学習能力ってのはないのかよ!!」

順さんに掴みかかったまま、翼が言った。

「ごめんなさい。それでもあたし、慧ちゃんが心配で、幸せになってほしくて。前と同じ過ちを繰り返さないように、予防線を張ったつもりではあったけど」

順さんのほうが年上の分、背が高い分、少し翼を見下ろすような角度でひるむことなくそう返した。

しかし翼のほうも負けてはいない。

「予防線ってなんだよ?子供が出来なきゃいいって問題じゃないだろ?結局あんたの蒔いた種のせいで慧さんいっぱい悩んでこんな倒れちゃうほど辛い思いしちゃったじゃないか」

「翼、もうやめなさい」
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