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私と彼らの生活

第11章 Season 1 理由


祥さんの話を聞いて私はすっかり気落ちしてしまった。

私の話を聞いてもらうつもりだったのに、気付いたら祥さんの話を聞くことになってしまったが、こんなことはよくあることだ。

結果的には相談したかったことの答えを貰うこともできたわけだし。

私は祥さんにお礼を行って部屋を出て、ごちゃごちゃと考えながら家までの道を進んだ。

だから、自分の体調が悪いのには気付いていなかった。

襲ってくる酷い吐き気と震え。

鞄からケータイを引っ張り出しながら、ずるずるとその場に蹲った。

遠のく意識の中、どのボタンを押したのかはわからない。

私はそのまま意識を手放した。




目が覚めたのは病院だった。どうやらあのあと運ばれたようだった。

腕には点滴が繋がっている。

身体には特に傷も見当たらず、怪我なんかはしていないようだったけど。

「なんか、頭痛い」

起きてみようとしたけど、普段感じることのないような痛みに早々に諦めてしまった。

どうしていいものかもわからずに、ぼーっと窓の外を眺める。ひとり部屋らしくて、部屋も広くないし、仕切りのカーテンもなかった。

しばらく窓の外を眺めていると、部屋の扉がノックされた。

返事もせずに目だけをそちらに動かすと、ドアが静かに開いた。

「……慧さん!!よかった」

私が起きているのを確認するなり泣きそうな顔で裕が飛び込んでくる。

私のそばまで来ると、手を握ってくれた。

「大丈夫?俺のこと、わかる?」

一気にまくし立てる裕に、私は少し笑いながら、

「大丈夫。わかるよ、裕」

と答えてあげると、

「よかった。ほんとによかった。ちょっと、待ってて?」

そう言うと裕は私から手を離して、部屋から出て行った。

しばらくすると、翼と祥さんを連れて戻ってきた。

「目が覚めたって?」

「慧さんっ……」

翼は私のそばに駆け寄ってくると、まだベッドに横たわっている私に抱きついてくる。

そんな翼を祥さんは暖かい目で見つめていた。

「つばさっち、痛い」

「ごめん。でも、もうちょっとこうさせてて」

自分で身体を起こすのを諦めるほど頭が痛いのに、更に翼によって抱き締められて痛みに顔を歪めてしまう。
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