第6章 その手で守って激しく癒して
いつの間にか他の人がほとんどいなくなっていた。
突然左馬刻さんに横抱きにされ、体には毛布が掛けられた。
落ち着き始めたとはいえ、まだ体には熱が残っているから、左馬刻さんに触られるだけで、体がビクリと跳ねた。
「もうちょい我慢してろ。すぐに楽にしてやるから」
額に口付けられ、左馬刻さんに体を預ける。
左馬刻さんの匂いに、疼きが高まってしまって、首に腕を回して抱きついて、左馬刻さんの首筋に吸い付いたり、舐め上げる。
「おらっ、やめろっ……クソっ、くすぐってぇ……おまっ、ちっ……落とすだろうがっ……」
恥ずかしい事をしているのに、やめられない。
左馬刻さんのお友達もいるのに、キスすら求めて、左馬刻さんの唇を貪る。
「ぅっ、ん、はっ、っだあぁー、クソっ、何の拷問だ、こりゃっ……」
後頭部を固定され、首に顔を埋めさせられ、動けないから、仕方なく左馬刻さんの首をガジガジ噛み続けた。
救急車が待機していて、寝かされる。
腕に針が刺さるチクリとする痛みに気づいたら、私は意識がゆっくりなくなっていく。
「今はゆっくり眠っとけ……」
薄れていく意識の中、髪を撫でる左馬刻さんの優しい微笑みに、胸が温かくなる。
意識が切れる直前に、左馬刻さんの低く唸るような声で「火貂組(うち)が始末する」と聞こえた気がした。
目が覚めると、白い天井が見えた。
「ああ、それでいい。俺が行くまで生かしとけ。死ぬより辛い思い……してもらわねぇとな……」
何か、凄く物騒な話をしてるなって、薄らと微睡む意識の中で思った。
電話を切って、左馬刻さんは眉間を押さえてため息を吐いた。
「ヤクザさんも、大変ですね」
「っ……あー……大丈夫か?」
「はい……ちょっとダルいですけど」
笑ってみせる。
薬は抜けたようで、もうあの変な体の疼きは全くなかった。
「あー……っと……なぁ、お前、どこまで覚えてんだ?」
「へ?」
言いづらそうに言う左馬刻さんの言っている意味が分からず、首を傾げる。
「だからっ、あの倉庫で言った事、だよ……」
「あぁ、覚えてますけど、もう一回聞きたいから、覚えてないです」
「んだそりゃ」