第6章 その手で守って激しく癒して
真剣な顔で、左馬刻さんが私の両手を握る。
見つめ合うように向き合う。
「私には、左馬刻さんの隣だけが、安心出来て落ち着ける場所なんです。もし許されるなら、ずっと左馬刻さんのそばにいたいです」
「そうか」
私の答えを聞いて、左馬刻さんが優しく笑う。
「なら、結婚すっか……」
私は耳を疑った。
思い切り目を見開いて、言葉にならずに絶句する私に、左馬刻さんはポケットをゴソゴソ探る。
「俺はもうお前を一生離す気ねぇし、逃がす気もねぇからな。大人しく俺様に貰われとけ」
差し出された小さな箱の中には、指輪が入っていた。
いつの間に用意していたのか。そもそも、指のサイズなんて、いつ測ったんだろう。
「で? 俺様にここまでさせといて、そっちからの返事はねぇのかよ?」
「あっ、す、すみませんっ、ちょっと、びっくりし過ぎて……軽くパニックです……」
「何だそりゃ」
苦笑した左馬刻さんを、まっすぐ見つめる。
「ヤクザの仕事の事も、それ以外の事も私には何も分からないし、迷惑たくさんかけてしまうかもしれません。それでも、私なんかで……いいんですか?」
「お前がいいから言ってんだろうが」
頭を軽く小突かれてしまった。その時の左馬刻さんの、無邪気な笑顔が眩しくて、涙が出た。
「感動したか?」
「ふふっ、はい。幸せ過ぎて、胸がいっぱいです」
親指で私の涙を拭い、目元に口づけが落ちる。
「、世界一幸せにしてやっから、覚悟しとけよ……愛してる」
「はい、よろしくお願いします。私も……愛してます」
ゆっくり唇が重なり、二人を包むように優しい風が吹いて、二人の髪を揺らしていた。
〜完〜