第6章 その手で守って激しく癒して
手が自由になり、普段は出ないような力で左馬刻さんを押し倒して、ベルトに手をかける。
「左馬刻さっ、ちょーだいっ……入れて……」
恥も何もあったものじゃない。けど、今はその事しか頭になくて。
必死に左馬刻さんを誘う。何としてでも、気持ちよくなりたかった。
「おねがっ……さま、と、きぃ……」
「っ!? っ……、やめろっ……」
子供みたいに泣きじゃくる私を、優しく抱きしめて、髪を撫でる。
「やだっ、やだぁ……何でっ!? 何でシてくれないのっ……」
私は泣きながら、左馬刻さんの腕を振り払い、立ち上がる。
「、何処に……」
「誰、かっ……助けっ……て……」
もう、誰でもいい。限界だった。
近くにいた警官の腕を掴む。
驚いたように私を見るその人の顔が、赤くなる。
「見んじゃねぇ……殺すぞっ……」
警官に凄む左馬刻さんに抱きすくめられ、胸板に顔が押し付けられる。
「邪魔しないでっ! 何もしてくれないくせにっ!」
「っ……」
「嫌いっ! 左馬刻なんてきらっ……んんっ……」
抱きしめられたまま、後頭部を固定され、深く口付けられる。
「はぁっ、んンっ、ふぅ、んんっ! んっ!」
体が気持ちよさでビクビクと跳ねて、キスだけで何度も絶頂する。
待っていたモノは与えられないのに、こんなにも気持ちよくて、満たされる気がした。
唇が離れ、左馬刻さんの赤い目が優しく細められた。
ゾクリとして、落ち着き始めた筈の体がまた少し熱を振り返す。
「俺様を嫌いなんて言った女は、お前が初めてだぜ。で? 俺が嫌いだってか?」
涙が止まらなくて、言葉にならなくて、首を何度も振る。
「ちがっ……」
「……好きだ、愛してる……」
頬を両手で包まれ、額をくっつける。
今、何を言われたのだろうか。
「俺は、お前が嫌がっても、もう離してやれねぇ」
「嫌じゃないっ……左馬刻さんっ、好きっ、私も好きっ! 傍にいたいっ!」
薬が効いていて、膝がガクガクして立っているのもやっとで、体も十分疼いているのに、何でこんなにも落ち着いてるんだろう。
この人は魔法でも使えるんだろうか。
「左馬刻」
背後から声がかかる。