第5章 〔左馬刻side〕
完全に腑抜けていたせいだ。
「銃兎、調べて欲しい事がある」
マンション前の監視カメラを調べると、車に連れ込まれるの姿がガッツリ映っていた。
「これは穏やかではありませんね」
「うむ。しかし、完全に素人の犯行だな。こんなに分かりやすいやり方をするとは……隙だらけだ」
「全く、虫酸が走りますね……」
銃兎と理鶯の協力もあって、予想より遥かに早く居場所を突き止められた。
映像には、見覚えのある女も映っている。
臭い香水をプンプンさせて、俺に絡んで来たあの派手な女だ。
「俺の……せいか……」
直接ではないにしろ、守らなければいけない女を、危険に晒したのが自分だという事実に、怒りが溢れて、意味もなく壁を殴った。
「クソがっ!」
「とにかく、早くしなければ彼女が危ない。応援を呼んでおきます」
「うむ、急ごう」
銃兎が運転する車で俺達は、のいる場所に向かう。
俺が一緒にいたら、これからもを危険な目に合わせるのは、安易に想像がつく。
それでも俺は、を手放すつもりはない。
ずっと欲しかった女を、やっと手に入れたんだ。
絶対に離してなんて、やらねぇ。