第1章 その出会いは最悪
私が口を開くのを不思議そうに見つめる。
「私は……どうなるんですか?」
「あ? さぁな……どうして欲しい? 風呂(ソープ)に沈めるか、バラして売るか……」
どっちも微妙だ。
恐ろしい事を簡単に言ってのけるところは、さすがヤクザと言ったところか。
どちらにしろ、私には選択肢なんてそもそもないのだから、どうしようもない。
「そうですか」
それだけ言って、もう何も言わない私を見て、眉間に皺を寄せた彼は、顎から手を離した。
「脱げ」
「は?」
机に軽く腰掛け、目の前のヤクザは無表情に言った。
意味が分からず、間抜けな声が出たけれど、気にする事なく彼は続ける。
「俺様を待たせるんじゃねぇよ」
先程までの不機嫌さはなく、ただ淡々と言う彼の言う通り、シャツのボタンを外し始める。
自分で思っていたより緊張しているのか、指が震えて上手くいかない。
彼は腰を上げ、私の前に再び立つと私の手を退けた。その動作は無駄に優しくて、驚いて固まってしまう。
そんな事を気にも止めず、彼は私のシャツのボタンを一つ一つ外していく。
間近で彼を見つめていると、ふと目が合う。
そして、フッと彼が笑う。
「見てんじゃねぇよ、穴開くだろうが」
その顔が思ったより優しくて、先程より激しく心臓が鳴る。
一体これは何の時間なんだろうか。
ボタンが全て外され、シャツが床に落ちる。
そして、彼は見るのだ、私の汚れた体を。
「……んだ、これ……」
私は汚れている。中も、外も。
「満足ですか? こんな汚い女、見ても抱いても、面白くないですよ」
私は笑う。今更、泣いたり喚いて助けを乞うたりした所で、意味なんてない。
この体が綺麗になるわけでも、私の今までの時間が帰って来る訳でもないから。
「っ、何をっ……」
突然彼が私の鎖骨にキスをする。
訳が分からず身を引こうとするのに、腰を抱かれて固定されていて、力の差があり過ぎて逃げる事も出来ない。
「あっ……ン……」
「いい声出すじゃねぇかよ……ん?」
音を立てながら、首筋と肩、胸の間にキスをする。
くすぐったくて身を捩る。
「……ちっ……どこまでもクソ野郎だな……」
舌打ちをして、彼はブラを外す。