第1章 その出会いは最悪
されるがままになっていると、スカートまでも脱がされ、下着だけにされてしまう。
「クソが……」
苛立ちを隠しもせず、彼は私を見る。
「お前、何でここにいるか分かってるか?」
「え、あ、えっと……アイツがお金を、持ち逃げしたとしか……」
「そうだ。で、お前が差し出されたわけだが……正直その体じゃ風呂に沈めるのは、な……」
それはそうだろう。こんな痣や傷や火傷の痕がある体なんて、売り物になんてなる訳がない。
じゃ、私はバラされるのだろうか。
「お前、スマホあるか?」
言われて、部屋の隅に落ちていたカバンに歩み寄り、スマホを持って戻る。
渡すと、何かを操作して、渡された。
「俺様の番号だ。連絡したらすぐ出ろ、呼ばれたらすぐ来い。無視は許さねぇ」
「あの……一体どういう……」
「金が返って来ねぇ以上、残されたお前にどうにかしてもらう必要があるが、正直お前は売れねぇしな。そこでだ、俺も組のメンツってのがあるわけで、ケジメを付けなきゃ示しがつかねぇ」
話は分かるけれど、それとこの連絡先の繋がりが見えない。
「その体、俺が買ってやるよ。せいぜい俺様を楽しませろよ」
耳元で低い声がする。その声は酷く楽しそうで、ゾクリと背筋に走り抜ける。
私はセックスが嫌いだ。
ただ無理やり挿れられて、ただ相手が達するまで我慢して。幸い、彼氏だった奴は早漏だったからよかったけど。
そんな行為が気持ちいいなんて、微塵も思えるわけがなかったし、私の場合は嫌な思い出しかないから。
「あの……抱かれないと、駄目……ですか?」
「あ? 何だよ、お前セックス嫌いか? ハッ、あんな気持ちいもん嫌いとか、よっぽど相手が下手くそだったんだな」
愉快だと言わんばかりに笑い、私の髪を指に絡ませて、それを唇に持って行って口付ける。
「心配すんな……俺は上手いぜ。ちゃんと天国見せてやっから、安心して抱かれとけ……」
そんな事を言われても、気持ちいい思いをした事がない私からしたら、怖さしかない。
もう痛いのは、嫌だ。
なんて、まだ自分を守ろうとしてる辺り、私も甘いな。
「まだ不安そうだな……。んじゃ、ちょっと試しにキスでもしとくか? 俺はあんま自分から女にキスしねぇんだがな」
ただヤるだけか。