第3章 飼われた鳥は自由か不自由か
担がれているから、もちろん注目されている。
羞恥で死にそうだ。
「碧棺さんっ、あのっ、降ろしてっ……」
「うるせぇ、黙ってろ」
声が、怖い。
これは、大人しくした方がいいようだ。
晒し者にされながら、薄暗い路地裏に連れてこられる。
明らかに怒っているのに、降ろす時は優しくて。
こういう所はほんとにズルい。
壁に追いやられ、肘を曲げて壁に付き、顎を持たれて上を向かされる。
碧棺さんの顔が近づいた。
「で? どんな店がお好みだ?」
「へ?」
「働きてぇんだろ? そんなにその体使いてぇくらい疼いてんなら、お好みの店、紹介してやるよ。俺だけじゃ満足出来ねぇんだよな?」
赤い目が鋭く刺さるように、私だけを見つめる。
「ちがっ……」
「違わねぇだろーがっ!」
顔のすぐ横の壁を殴り、私は小さく「ひっ」っと喉を鳴らして、体をビクリと震わせる。
「ご、め……なさっ……」
怖い。震えが止まらなくて、言い訳すら口に出来なくて、涙が滲む。
頭がパニックで、口にしようとする言葉が、違うと、ごめんなさいしか思い浮かばない。
「お前の体は俺様が買った、俺様のモンだろーが。勝手な事は許さねぇ、分かったな?」
震えながら、辛うじて頷く。
「俺様をイライラさせた詫び、入れろや」
意味が分からず、黙って碧棺さんを見る。
「しゃぶれよ」
前の彼によく言われた言葉だったななんて、ふと過ぎる。
膝をついて、震えが治まらないままの手で、碧棺さんのベルトを外していく。
改めて見ても、まだ起き上がっていないのに、なかなかの大きさに怯む。
「さっさとしろ」
低く唸るみたいに言われ、始める。
正直、この行為だけは慣れていた。
前の彼に嫌という程仕込まれたから。そう、痛みと共に。
そのお陰か、碧棺さんのモノはすっかり勃ち上がっていた。
息遣いが荒くなり、目だけで碧棺さんの様子を見上げると、興奮した顔で眉を顰めて私を見る、熱い視線とぶつかる。
「っ……はぁ……お前っ、くっ、ぁ……どうなってん、だよっ……」
「ひもひぃ、ふぇふは?」
「しゃべんなっ、あっ、クソっ……んっ、はっ……」
苦しそうに呻きながら、私の頭をふわりと撫でる。