第2章 プロローグ
しばらくそうしていると、相手は深呼吸をして、落ち着いた。
「急に笑ってしまって、すまない。髪と目なら、生まれつきなんだ」
「えっ」
目も?
そう思い見てみると、確かに目も赤かった。
(髪に気を取られて、目は気づかなかった……って、あれ?この人……学年トップの……)
私がそう思っていると、スッと手を差し出された。
私はその手を見つめる。
「はじめまして……ではないが、クラスは別だったな。俺は赤司征十郎だ」
(やっぱり、学年トップの赤司くんか)
私はそう思うのと同時に、赤司くんの手を取る。
「隈井 征子です。本から助けてくれて……ありがとうございます」
「どういたしまして。ところで、図書委員とは二人でペアじゃないのか?」
「あ……今日は私一人なんです。先輩は部活なので」
「部活か……なら、俺が本を戻そう」
その言葉に私は耳を疑った。
けど、さすがにそれは悪い。
赤司くんも部活に入っているし、何より、こんなことが知れたら赤司くんのファンクラブに睨まれる恐れがある。
(本を戻すのを手伝ってもらう代わりに、私にできる事をさせてもらおう)
「本は私がやります!」
「だが、キミだと届かないだろ」
赤司くんはそう言って、本が落ちた場所を見る。
そこには、私が頑張っても届かなかったせいで落ちた分の穴がある。
「……ごめんなさい……」
「俺なら構わない。元々、手伝うつもりで来たが……キミがバランスを崩して、本が落ちるのが先だった」
「け、けど……部活……」
「生徒会の仕事もあってね。そっちで遅れるとは連絡してある」
(そういえば、生徒会会長……だっけ。そっちでは連絡してるんだ)
私はそう思いながら本を拾う。
赤司くんも数冊拾って本棚に向かった。
そこから私は本を拾い、赤司くんが本棚に戻すと、分担制になった。
(赤司くん、少し怖いイメージだったけど……実は優しい……のかな?それとも、先輩にナメられないために、使い分けてる?)