第2章 プロローグ
「……終わったかな」
赤司くんの声で私は周囲を見渡す。
床は綺麗になっている。
本棚を見上げると、落ちた本棚もきちんと収まっている。
「凄い……」
「俺が手伝って良かっただろ?」
赤司くんはそう言って、パチリと片目を瞑った。
私は咄嗟にそんな赤司くんから顔を反らし、コクと頷いた。
(何アレ……反則じゃない?)
「……さてと、俺はそろそろ部活に出るよ。隈井はどうするんだい?」
「私は下校時間まで図書委員の仕事だから……」
「そうか」
赤司くんはそう呟くと、少しだけ肩を落とす。
けど、すぐに笑顔で、「無理だはするな」と言って図書室を出て行った。
私はこのとき、考えもしなかった。
まさか、これから先の未来が彼によって決められてしまうなんて……