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私の風変わりなご主人様

第2章 プロローグ


ある日の夕暮れ。
私は図書室で、仕事をしていた。

「ん、しょっと……」


足場に乗って、精一杯背伸びをして、手を伸ばす。
もう少しで本が戻せる。
そういうときにバランスは崩れ、私の体は後ろへと倒れ込む。

(あ……マズい)

本を見ると戻そうとしていた本と、数冊が崩れ落ちてくる。

(間に合わない……!)

私は襲い来る衝撃に耐えるために、目を瞑り、頭を抱えた。
けど、バサバサと音はしても、痛みは来ない。

(……?どうなって……)

私は恐る恐る目を開け、顔を上げる。
そこには、同じ制服と赤。
その人は私を振り返る。

「危なかったね。怪我はないかな?」

「えっ……?」

「本は当たってないか?」

「あっ」

私は呟くと、周囲を見渡す。
落ちてきた本はどれも私の近くに落ちているけれど、当たってはいなかった。

「……大丈夫、みたいです」

「そう。それは良かった」

男子はそう言うと、本を取ろうとする。
私はそんな男子に慌ててハンカチを差し出した。

「ご、ごめんなさい。あの、私は大丈夫なので……怪我を拭いてください」

「えっ?」

その人は驚いたように目を見開く。
私はその人の頭部に顔を向ける。

「私を庇ったから、怪我したんじゃ……?」

私はそこまで言って、首を傾げる。
髪は真っ赤だけど、血が見えない。
けど、ならその赤は?

(どうなってるの……?髪が赤いのに、怪我がない?けど、私を庇ったなら……)

私は訳がわからず、混乱を起こす。
そんな私を見てか、プッと吹き出した。

「ふっ、くくっ……」

「あ、あの……?」

私は急に笑い出した相手を見つめるしかできない。
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