第2章 貴方の優しい全てに包まれて(その後)
目が覚めると、私は知らない服を着ていた。
相変わらずテントの中で、理鶯さんの香りのする毛布を被っていた。
こんな可愛いワンピースを着た事なんて、なかったから、違和感が凄い。
「誰が選んだんだろ……」
誰が着替えさせたかより、そちらの方が興味がある。
テントから出ると、そこには誰もいなかった。
とりあえず川で顔を洗い、頭をスッキリさせる。
大きく伸びをした時、私の耳に足音が届く。
「起きたか」
低くて、柔らかくて、耳を優しくくすぐる声。
安心感が体中に広がる。
「おはようございます」
「ああ、おはよう。気分は?」
私は笑顔で大丈夫ですと答えた。
そうかと短く答え、あの優しい笑顔が浮かぶ。
胸がトクンと鳴る。
「腹は減っているか? 今日はいい食材が手に入ってな」
相変わらず見た目がアレで、謎な料理だけど、食べられる。
コーヒーを飲んで、一息吐く。
すると、理鶯さんが私の前に膝をつく。
「そういえば、言わなければいけないな」
「え?」
「告白の返事だ」
顔に熱が集まり、心臓が強く激しく高鳴る。
突然過ぎて呆気に取られている私の手が、大きな手に包まれる。
「小官も、と共にいたい……好きだ」
まっすぐ射抜かれるかのように、綺麗な目が私を見つめる。
手の甲にキスが落ちた。
男性にこんなに魅了されたのは、生まれて初めてで、今後この人以外には一生ないだろう。
頬を大きな手が包み込む。
「好きだ、」
「私も、好き……理鶯さん……」
唇がゆっくり重なり、啄むようなキスが繰り返され、二人の吐息と唇の触れ合う音が、妙に耳に響いた。
何度かそんなキスをしていると、理鶯さんの舌が唇を舐め上げ、唇を甘く噛む。
「あの日、この唇に触れてから、ずっとこうしたかった……」
そんな事を思っていてくれたなんて、嬉しすぎて舞い上がってしまう。
唇をなぞった指が、開かれた口に差し込まれて、それに自分から舌を絡ませる。
「は……ぅんっ……」
「いやらしいな……そそられる……」
目を細めて片方だけ口角を上げて笑う。その姿は、酷く妖艶だ。