第2章 貴方の優しい全てに包まれて(その後)
気だるさと喉の乾きで目が覚めた。
「体、大丈夫か? 無理をさせてすまない」
頭上から声がし、理鶯さんの膝枕で眠っていたのだと気づく。
「大丈夫、です……その……」
「ん? どうした? 何処か痛むか?」
心配そうに眉を下げる理鶯さんの顔から目を逸らし、膝に額を付けて顔を伏せる。
「気持ち……よかった、です……」
沈黙。変な事を言ってしまったと、ハッとして顔を上げた。
そこには、少し照れたような、はにかむ様な顔で笑う理鶯さんがいた。
「そうか。それは光栄だな」
頭を優しく撫でられる。
体をゆっくり起こすと、理鶯さんが水を渡してくれる。
けれど、思っていた以上に疲れていたみたいで、手に力が入らず、ペットボトルを落としてしまう。
落としたペットボトルを拾い、蓋を開けて理鶯さんが口に含む。
それをただ呆然と見ていると、後頭部に手を添えられ、理鶯さんの顔が近づく。
「ぅっ、ん、っ……」
開かされた唇から水が入ってきて、驚いている間に喉を通り過ぎる。
何度か繰り返された後、水がなくなった口内を舌が動き回って唇が離れた。
「理鶯さん……何か、色々エッチ、ですっ……」
「そう怒るな。に対してだけだ」
頭にキスをして、また優しく笑った。
この笑顔を向けられたら、何でも許してしまう。
ほんとに、ズルい人だ。
人の世話をするのが好きで、意地悪で、ズルくて、でも何よりも優しいこの人には、一生勝てないんだろうなと、悟ってしまった。
~完~