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【キメツ学園】聖戦【我妻善逸】

第1章 チョコが欲しい


「俺はこれがいいなぁ!」

「我妻君…女子の会話に入ってくるのはどうかと思うよ」

「我妻君はオランジュショコラが好きなの?」

ニコニコと笑顔でレシピを指さす善逸に呆れたような視線を向ける麻衣。その姿に苦笑しながら華は善逸に何げなく問いかける。

「食べたことはないけど、美味しそうだよね!」

「善逸!俺がオレンジパン作ってきてやるから。ごめんね華、麻衣」

確かに美味しそうだね!と善逸の首根っこを掴んでいる炭治郎はニコリと笑って「俺ん家もバレンタイン向けの商品を考えなきゃな~」と言いながら席に戻って行く。引きずられていく善逸は「女の子から欲しいんだよ~!」という悲痛な叫びを発していた。

帰りに炭治郎君のパン買って帰ろう。

家がパン屋さんの炭治郎、朝早くからパンを焼いて帰ってからも店の手伝いをしているらしい。その上メニュー考案もしているところは素直にすごいと思う。その努力は美味しさとやさしさとなってパンに現れているような気がして華はちょくちょく下校途中に買ったりしている。

スピーカーから流れだすチャイムが昼休みの終わりを告げ、教室内の生徒は各々午後の授業の準備を始める。
華も口の中にタコさんウィンナーを放り込むと弁当箱を片付けた。



「へぇ、オレンジだけじゃなくレモンでも作れるんだ」

スマホを見つめポツリと呟く華はベッドに転がりレシピを検索していた。渡す相手が居ないからスルーしようとしていたが、麻衣が一緒に作ろうと誘ってくれたのだからせっかくなら自分もバレンタインというイベントを楽しもうと思いなおす。そう思ってレシピを検索していたところでふと思い出した。

俺はこれがいいなぁ!

金髪頭の善逸が指差していたオランジュショコラ。詳細なレシピ検索をしてみれば、生オレンジを加工するだけで3日近くかかることに驚いてしまった。

「さすがにバレンタインの3日前から作り出して渡すなんて頑張りすぎだわ」

あの様子ではバレンタインチョコをあのクラスから貰えないのではないか。そう思うとなんだか哀れで一人くらいチョコを渡せば気が収まるんじゃないかなんて考えれば、そもそも誰にもあげる気がなかった自分が渡せば万事解決だと思っていた。
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