第4章 結論
「冗談でしょ?」
「まさか、冗談なわけないよ。麻衣こそ稲玉先輩に渡せた?」
怒涛の告白から翌日。いつもと変わらない教室で麻衣はとても信じられないと言った表情で華を見つめていた。あげないほうがいいかもなどと弱気になっていたはずの友人は別人のようにスッキリした表情をしていた。
それとは対称的に...。と麻衣は随分静かになっている善逸にチラリと視線を移した。
勘違い、賑やか(喧しいとも言う)、女の子大好き。そんな三拍子が揃った善逸が見る影も無い、それほどに華からプッシュを受けたことか衝撃的な出来事だったのだろうか。
昨日分かれてからそんな展開になるなんて予想してなかった。
「麻衣?」
ハッとした麻衣は華に視線を戻す。獪岳にチョコを渡したか、という問いに対しては勿論Yesと返すが、華のように告白はしていない。好きな人と言っても、叶わないだろうと想像出来ているからこそあくまでファンの一人だと自分を位置付けていた。
だからこそ、華の行動力には驚かされるばかりだ。
「稲玉先輩にはきちんとチョコ渡しましたのでご心配なく。それで、我妻君の返事待ちなの?」
うん、と頷いた華は自分から返事は急がないからと言ったと答えた。通常一週間程度で返事は用意できるだろう、けれど一ヶ月後のホワイトデーを考えるとそれまでは何のアクションもない可能性もある。
「すぐにOK貰えなかったってことはきっと決定打になるものが私には無いんだと思う。もし迷惑ならハッキリ言ってって伝えてあるから、そう言われるまでは色々頑張ってみるよ」
そうだ。この恋はまだ始まったばかりなのだから。
~完~