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【キメツ学園】聖戦【我妻善逸】

第3章 突撃訪問



「お前、善逸にチョコやったのか?あいつ昨日からソワソワしてうぜぇんだよ」

「獪岳!!ちょっと何言ってんの!?」

台所から戻ってきた善逸は何やら大慌てで獪岳にお茶を渡して華に向き直った。
気にしないで、と言う善逸の表情に思わず口から飛び出した言葉に空気が凍る。

「いや、そう言う我妻君が一番気にしてる顔してるじゃん」

麻衣が咄嗟に華の脇腹を小突いたが発言は取り消せない。華はハッとしたが何も弁明できず気まずい空気を吸うしかなかった。とても「なんちゃって」と誤魔化せる状態ではなかった。

やってしまった。

心の中で華は呟いた。今日はチョコ渡せないかもしれない、なんて気弱な自分が脳内でパニックになり暴れている。
渡さなきゃ始まらないのに、渡す機会を自ら潰しにかかるスタイルか。と自分自身でツッコミを入れていると何やら突き刺さるような視線を感じた。その視線は麻衣、ではなく獪岳だった。
お前、マジか。とでも言いたそうなドン引いた顔に華は更に落ち込んだ。

きっと思っただろう。
チョコを渡そうとしている相手への態度じゃないだろ、と。

「終わった...」

ポツリと呟いた言葉に反応を見せたのは善逸だった。

「何が終わったって??...あぁ、お茶?おかわりいる?」

呆然としていた華は善逸の言葉にハッとした。両手で包んでいた湯呑み、中身はとうに飲み干していたのだ。緊張からかはたまた気まずさから逃げる為かは分からないが知らず知らず飲んでいたようだ。

「大丈夫だよ我妻君。家に帰ったら夕飯の時間だし、私達はそろそろ帰るね」

友人の脳内パニックに気付いたのか、すかさず麻衣がフォローを入れる。あれ?そういえばここには何しに来たんだっけ?と脳内の自分が首を傾げる。

「もうそんな時間なんだ。ごめんね我妻君、お邪魔しまし...っあぁ!」

帰るのかー、なんて思いながらお暇の挨拶をしかけた華は何の用事だったか思い出して思わず叫んで麻衣を見る。

「華...ちょっと落ち着いたら?っていうか我妻君に謝りなよ」

「いいよ麻衣ちゃん。俺は別に気にしてないから、華ちゃんも気にしないで」

そう言った善逸の顔は笑っていた。けれどいつものような屈託の無い笑顔ではなかった。
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