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【キメツ学園】聖戦【我妻善逸】

第2章 好きな人とは


受験が終わって中学最後の春休みを心待ちにしていた2月の終わり。
合格したキメツ学園の制服採寸の知らせが届いていた華はキメツ学園に居た。
周囲を見渡せば、自身と同じように制服採寸に来た生徒たちがソワソワと指示を待っている。
さすがマンモス校というだけあり、合格者の人数もこれまた多い。中高一貫エスカレーター式の学校なのでここに集まっている中の何%が外部受験なのかは分からないが、皆同様に春から過ごすこの学園を嬉しそうに期待の眼差しで見回している。

「だーかーらー!」

一際大きな声が上がり華はそちらに視線を向けた。が人垣で渦中の人物の姿は見えない。

「いらねぇ!じゃなくて制服は絶対着なきゃいけないんだって!大人しく採寸しろよ、後ろが詰まってるだろ!」

「うるせぇぞ!紋逸!この嘴平伊之助様は制服なんか着なくてもいいんだよ!ゴワゴワして気持ちわりぃ!」

紋逸、というのはどうやら騒いでいる男子を窘めている男子の名前のようだ。珍しい名前だなぁ、と華は採寸の列に並びながらも視線は声の方に向けたまま。すると一瞬ではあるものの鮮やかな金髪が人垣から見えた。

金髪!?不良!?

金髪=不良だと直結してしまうのは偏見かもしれないが、この時華は制服を着たがらない人物が金髪だと思い「うわぁ」と思わず声を上げた。偏差値が良い学校であってもああいった不良の一人や二人居たっておかしくはないが、真面目に生きて来た華としては余り関わり合いになりたくない人種だ。

「同じクラスになりたくはないなぁ」

そう呟いた瞬間、「痛っ!やめろよ!」と声が上がった。まさか喧嘩!?と慌てたが、人垣の隙間から見えた光景にあれ?と思った。そこには青みがかった黒髪の美少年が金髪の少年の頭をペシペシと叩いていたのだ。おそらく叫び声ほど痛くはないだろう、ペシペシというよりペムペムというような叩き方で黒髪の美少年もそれほど本気で叩いていないように見える。
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