第5章 ─ わすれじの ─
食事の時間の後は、私が最も苦手とする社交ダンス。
あらかじめ聞いていたものの、やっぱり肩が重い。
一応、この日の為に糸魚川さんからみっちり動き方を教わっているけれど、不安は隠せない。
でも、ひとつだけ楽しみがある。
それは……
「私がリードするから、焦らなくていいからね」
「はい!」
旦那様と踊れること!これをご褒美に辛い練習も耐えられた!
糸魚川さんの情報によると、旦那様はとてもダンスが上手いらしい、たとえ私が下手でも、さり気なく助けてくれると。
ホクホクの笑顔で、旦那様の手を取ろうとした時。